幼い頃の小学4年生の同級生が体験したお話です。
その同級生はとても教育熱心な家庭に育ち、塾にも通わせてもらっていました。
夏休みになると、学校が終わった後とかではなく、昼間に塾があったので、塾に行った後に友達と遊びに行っていました。
ある日、塾が終わり、お昼くらいの帰り道。
いつも通る道、住宅街を歩いていました。
見慣れたいつもの道、その中で、いつもとは違う、見慣れないものが目に飛び込んできました。
角の電柱のところに、白い縦長の看板のようなものがある。
(これ、なんだろう?)
その看板の上の方には、方向を示す指のマークがあり、
「佐藤家葬儀式場」
と書かれていました。
子供なので、いつもと違う看板や、書かれていた名前にもテンションが上がっていました。
「佐藤って自分と一緒やん!」
そう、彼の名前は佐藤くん。
よくある名字だし、そんな珍しいものでもないけど、自分と同じ佐藤だし指案内あるしでテンションが上がっていました。
指の方向、いつもの帰り道を少しずれて指の指す方向に歩いていきました。
曲がっていった先の方に何か見えて来ました。
「佐藤家葬儀式場」
またさっきの指案内の看板を見つけたのでそっちの方向に歩いていきます。
曲がった先にもまたさっきの看板がある。
気づくと、いつもの帰り道からだいぶそれた方向に歩いてきてしまいました。
次々現れるその看板を頼りに、歩き進むと、
(うわっ)
そこには公民館のような、平屋の大きな建物がありました。
そこの平屋の入口の引き戸が全開になっていて中が見える状態でした。
中が丸見えの状態で、喪服を着たかなりの数の大人達が向こうを向いて正座しているのが見えます。
「うっ…うっ…」
大人たちのすすり泣く声が聞こえてきます。
夕日が沈みかけた明かりが建物に差し込み、周りは少し赤くなっていて、少し暗くもなっていました。
その情景を目の当たりにして、子供ながらに
(軽い気持ちで寄るものじゃないな…)
そう思って少し後ずさりしました。
その時、すすり泣いている大人たちの声が止まったように感じました。
しーんとしている。
(あれっ)
そのときに気づいたのですが、すすり泣く声だけじゃなくて、遠くから聞こえていた車の通る音や、セミの鳴き声も全部消えたのです。
そう、無音の状態になったのです。
(あれっ)
更に、建物の中にいる無数の大人たち。
みんな少しずつこちらに振り返ろうとしているのがわかりました。
大人たちが一斉に肩から首がこちらを向いている。
「えっ、えっ、えっ」
振り返った大人たちの顔がみんな無表情でこちらをじーっと見ている。
(うわぁっ)
恐怖のあまり、一歩後ずさりすると
「どん!」
背中に何かが当たりました。
振り向くと、喪服姿の男性がこっちをじーっと見下ろしているんです。
あまりの恐怖でその男性の横をすり抜け、来た道を引き返しました。
住宅街をすり抜け、ようやくいつもの帰り道にたどり着きました。
辺りを見回すと夕日どころか、まだ昼の明るさでした。
近くのお店を覗き込み、時計に目をやると、やはりまだ昼間の時間帯でした。
(さっきの夕日は何だったんだろう?)
そう思いながら、友達の待ち合わせの場所に向かいました。
待ち合わせ場所には、すでに友達がいました。
さっきあった体験を早速友達に話しました。
「こんな看板があってね、、、こうこうこうゆう風に行ったら大人たちがこんな感じで、、、奥に花があって祭壇があって、、、」
色々話しましたが、みんな
「何いってんだよ、そんなわけ無いだろ!日が沈んでんのに昼なんてある訳無いじゃん!嘘つくなよ笑」
そう言って信じてもらえませんでした。
佐藤くんが一生懸命に喋った話を笑いながら友達は聞いていました。
佐藤くんがその話をして一週間後、夏休みが終わり、新学期が始まりみんな学校に登校してきました。
そこに佐藤くんの姿はありませんでした。
教室に入ってくるなり先生は
「夏休みに、残念ながら事故にあい佐藤くん亡くなりました」
先生がそう告げるとクラスのみんな、ボロボロ泣き始めました。
みんなボロボロ泣いている中、あの日、佐藤くんに話を聞いた4人はみんな、ガタガタ震えが止まりませんでした。
あのとき佐藤くんが必死に言っていた話、続きがあったんです。
「いやぁっ!ホントなんだって!」
「入口が開いてて、大人たちが向こう向いてて、祭壇があって、花がバァってあって、真ん中にオレの遺影が飾ってあったんだよ!」
そう言っていた佐藤くんの話が脳裏に焼き付いて離れませんでした。
今は大人になり、街で葬儀の看板を見かけても、あの時のことを思い出してしまい、まじまじと看板を見ることができなくなってしまいました。
心霊考察
面白半分で追いかけた自分と同じ名前の葬式看板。
その後見た自分のお葬式に至るまで、佐藤くんはどこに迷い込んでしまったんでしょう?
ここにも冥界の入口があるのか。
不吉なものなのか、不吉なんでしょう。
その看板が黄泉の入口なんだとしたら、目を背けるべきですよね。
ちょっとした世界の歪みからおっこちない様にみなさんも気をつけてくださいね。
決して自分の名前と同じ赤の他人の葬儀看板を追わないでください。
終わり

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